ヨーヨーのストリングについて


 ヨーヨーのストリングには様々な種類があり、それぞれ独自の特性を持っています。プレイヤー達はその多種多様なストリングを「自分のヨーヨーに合うかどうか」「目的のトリックがやりやすいかどうか」「望んだフィーリングが得られるかどうか」「大会での使用に耐えうるかどうか」などの理由をもとに選択し使用しています。


素材ごとの特徴

【コットン100%】

 

 綿だけでつくられた天然繊維100%のストリングです。ポリエステル等の化繊ストリングよりもおおむね柔らかい仕上がりをしており、スロー後ヨーヨーがストリングの先端に達した際のふんわりした感触は化繊系・混紡系にはない優しさがあります。摩擦係数が高いため固定軸のヨーヨーや4つ穴スターのヨーヨーでもしっかりとしたリターンが望めます。

 

 その反面引張り強度が低く、フルメタルヨーヨーを始めとする重量級のヨーヨーには合いません。軽量のヨーヨーでも強スローを繰り返していると比較的短時間で摩耗・切断が発生します。伝統的なストリングでありながら独特のフィーリングと引き換えに使用法と交換時期の判断が要求される、現代においては少し玄人向けのストリングかもしれません。

 

 

【50/50(スリック)】

 

 綿とポリエステルを半分ずつ混紡した新時代のストリングです。コットン100の強度問題をクリアし、柔軟性と耐久性を絶妙なバランスで保持しているとても素晴らしいストリングです。祖であるスピンタスティクスが名付けた「スリック」は「すべり」の意。低下した摩擦係数によってスターバースト機種でもこれまで以上のすべりが得られました。00年代初期から現在まで多くの環境で使用されているためその耐久性はお墨付き。「どんなヨーヨーにも使うことができる」というウリ文句はこの実績に由来します。

 

 スリックは初めて「ヨリ数」が差別化されたストリングでもあります。6本ヨリは標準的な太さ、8本ヨリは6本ヨリよりも細い繊維を使うことで細く強いストリングとなっています。

 

 現在は主に初心者向けヨーヨーとルーピングヨーヨーで使われることが多くなりましたがストリングプレイ用のヨーヨーに使っても面白いです。僕は今でも4つ穴のヨーヨー(ハヤブサやドラゴンジャムなど)を使うのでそういったヨーヨーには50/50を採用しています。

 

【ポリエステル100%・ナイロン100%】

 

 メタル時代に最適化された化繊100%のストリングです。登山用ロープの素材として選択されていることからもわかる引張り強度の高さは重いフルメタルを強スローする今日のシーンにうってつけ。天然繊維よりもコシと重量があるのでスラックやウィップがきれいに飛ぶ点も大きなメリットです。

 

 「エンジェルヘアー」や「トキシック」のように従来のストリングとは段違いの性能を持たせた高機能ストリングが存在するのもこのジャンル。「化繊系」とひとくくりにできないほど選択肢が多いのも興味深いところ。フルメタルヨーヨーを使うのであれば「とりあえずコレ」と薦められるストリングです。


太さ・長さ・ヨリのきつさ

 化繊系ストリングについてまわるのが「スターバーストとの相性」に関する議論。化繊系ストリングは熱への耐久性が低く、強い摩擦と熱が発生するスターバースト機種に使った場合「摩擦熱によって短時間で切れてしまう可能性がある」と言われています。前述の登山用ロープも、ゴツゴツした岩肌で使用する際は岩とロープの接触面に布などの保護材をはさんで使用し切断を防ぐ対策が取られています。化繊と熱による切断問題は切っても切れない間柄なのです。


 ヨーヨーも例外ではなく「スターバースト機種に使ったらすぐに切れた」「逆に全然切れなかった」両方の報告が各プレイヤーからあがっています。

 

 なぜそんな状況が生まれているのか?それは使用機種、セッティング、行うトリック、スローの強さ、交換頻度がプレイヤーによって異なるからです。コンマ数ミリの差が大きな影響となるのがヨーヨーというおもちゃです。ヨーヨー開発者ですらこの問題には悩まされています。

 

 大切なのは自分で検証することです。自分のヨーヨーで自分の好きなトリックをやって、ストリングの消耗具合を測る。道具との付き合い方を知ることで事故の危険性はグッと下がります。

 

 あと、忘れちゃいけないのが自身の検証結果を他人に押し付けないことです。報告するだけならよいのですが「俺は大丈夫だったからお前も使え」なんて無理に勧めてはいけません。信頼性やフィーリング、コスト。使う道具を選ぶ理由は千差万別です。押し付けず、情報を共有して、よりよい環境をみんなで作っていきましょう。

 素材を問わず、ストリングはメーカーによってその太さ・長さ・ヨリのきつさが異なります。現在多くのショップで「ノンブランド」として売られているストリングは「細め・短め・ヨリゆるめ」であることが多いように感じます。これに慣れている人、またはこれしか使ったことがない人にスピンタスティクスのスリック6やKストを分けてあげると「使いやすい!」「太っ!」などびっくりされることがあります。それくらいストリングには大きな差があるのです。

 

 細いストリングはすべりが良くなる一方で戻りが悪くなります。また耐久性も低くなります。

 

 短いストリングは体格の大きい人が使う場合、または複雑なストリングプレイを行う際に「足りなくなる」ことがあります。

 

 ヨリがゆるいストリングは伸びる(劣化)のがはやかったり、つっぱる感じがあったり、ヨリの維持が難しかったりします。

 

 それぞれが特徴を持っているのです。例えばダンカンのポリ100。これはノンブランド系とかなり近い特徴を持っているのですが、これがダンカンサイズA機種とよく合うのです。特にProZ。ダンカン標準品、ノンブランド、Kストスリムを使うとすべりと噛みにくさがグンと向上します。長さが短いのも、アジア人より体格の良い欧米の初心者キッズには「切らなくてもそのまま使える」ほどよい長さです。単純なコスト削減ではなく狙って採用しているのではないか?とも思います。

 

 ストリングの詳細スペックに関してはショップでも把握が難しく、おおまかな目安を紹介することしか出来ません。自分で使ってみるしか無い、というのが現状です。価格の安さや人気にとらわれず色々なストリングを試してみてください。衝撃を受けるストリングと出会うことができるかも。