ヨーヨーに使われるボールベアリング


 ヨーヨーに使われるボールベアリングのほとんどは工業用の規格品です。寸法さえ合っていればラジコンショップやホームセンター、機械部材を扱うお店でも同等品を購入することが可能です。僕も新品が大量に必要な時にはそういったお店でベアリングを調達しています(ティーチングイベント前など)

 一方でヨーヨー向けに特殊な加工を施したベアリングも存在します。このコーナーではそんなベアリングの種類と特徴、ヨーヨー業界で使われる用語について解説します。


ベアリングのサイズと採用ヨーヨーの一例

サイズA(通称:ダンカンサイズ)

 外径10mm・内径5mm・幅4mm

 ProZ、フリップサイド、LOOP360など

サイズB(通称:ジャム小径)

 外径9.525mm・内径6.35mm・幅3.18mm

 アトム、中国製ハブスタック用など

サイズC(通称:ジャム大径)

 外径12.7mm・内径6.35mm・幅4.76mm

 ほとんどのストリングプレイヨーヨー

サイズC-(通称:薄型ジャム大径)

 外径12.7mm・内径6.35mm・幅3.18mm

 ワン、リプレイ、ブレイドなど

サイズD(通称:エイチスピンサイズ)

 外径11mm・内径5mm・幅5mm

 パイソン、オルタナティブ、クロスロードなど

サイズD-(通称:薄型エイチスピンサイズ)

 外径11mm・内径5mm・幅4mm

 Cナイン

サイズE(通称:ヨメガサイズ)

 外径7.94mm・内径3.97mm・幅3.18mm

 レイダー、セイバーレイダーなど

サイズE-(通称:薄型ヨメガサイズ)

 外径7.94mm・内径3.97mm・幅2.78mm 

 特に無し(交換用パーツ)

サイズF

 外径10mm・内径8mm・幅3.5mm

 フィエスタ

サイズG

 外径9.53mm・内径4.76mm・幅3.18mm

 マグ、チェインリアクターなど

サイズH

 寸法資料無し

 ソニックスピン

サイズI

 外径7.94mm・内径3.18mm・幅3.56mm

 SB2

サイズJ

 外径12mm・内径6mm・幅4mm

 クロスファイヤー(旧型)、ヨーモッズなど

サイズK(通称:マイティーフリーサイズ)

 外径8mm・内径4mm・幅3mm

 マイティーフリー、LOOP1080など

サイズL

 外径13mm・内径6mm・幅5mm

 トリノ、OXY5など

サイズM

 外径17mm・内径9mm・幅5mm

 ビッグヨー

サイズN

 外径9mm・内径4mm・幅4mm

 OXY2


※「サイズA」「サイズC」などの呼称はヨーヨー業界独自のものです。一般には通用しないので注意してください。


ベアリングの形状

フラット

 最も一般的なベアリングです。ルーピング用ヨーヨーや安価なストリングプレイ用ヨーヨー、ワンドロップのヨーヨーに採用されています。

 特殊形状のベアリングが主流になった現在もフラット独特のすべりとフィーリングのファンは少なくありません。

曲面加工ベアリング

 外周が曲面に加工されているベアリングです。元祖はディフィーヨーの「コンケイブベアリング」で、このことから他社製の曲面加工ベアリングを「コンケイブ」「KKベアリング」と呼ぶ人もいます。

 ストリングを中央に寄せる(=レスポンスから離す)力があり、すべりが向上する機能を持っています。反面、状況によっては「中央に寄りすぎて逆にすべりが悪くなる」こともあるといわれています。

 スタンダードな形状になってからは様々なメーカーが同形状のベアリングを製造していますが「コンケイブ」と呼べるのはディフィーヨーのものだけです。例外として一部メーカーがディフィーヨーに対しライセンス料を支払い、正式に「コンケイブベアリング」を名乗って製造・販売していることがあります。

センタートラック

 ヨーヨーファクトリーが開発したベアリングです。中央にフラットな部分を設けることでストリングがレスポンスに触れることを避けつつ「寄せすぎ」によるすべりの低下も回避しています。 とても人気のあるベアリングで、他社がYYFから仕入れて自社のヨーヨーに搭載するケースも少なくありません。※自社製のCT形状ベアリングをセンタートラックと呼んでいる場合もあります。

その他のベアリング

 特殊加工の2大巨頭はコンケイブとセンタートラックですが、この他にもたくさんの特殊加工ベアリングが存在します。

 特に有名なものは中央にストリング1本分の溝を設けた「グルーヴベアリング」、中央にかけてV字を描く「Vトラピーズベアリング」、2段のストレートな傾斜を持つ「ダブルストレートベアリング」など。

 ベアリング形状はプレイのフィーリングに大きな影響を与えます。特殊加工だから優れている、特殊加工だから使いやすい、とは限りません。様々なベアリングを自分で試して好みに合う形状を探しましょう。


ベアリングのメンテナンス

<脱脂・洗浄>

  1. 換気できる部屋、風通しの良い場所に道具を持ち込む。
  2. しっかり密閉できる容器にベアリングを入れる(模型用の塗料ビンなど)
  3. 脱脂するための溶剤を入れる(機械用パーツクリーナーなど)
  4. 蓋を開けたまま1分ほど待つ(洗浄溶剤は揮発性が高いため入れた直後にフタをするとガラス瓶でも破裂するおそれがある)
  5. 蓋をしてから軽く容器を振る(強く振ると容器やベアリングにダメージがあるので中)
  6. ピンセットなどでベアリングを取り出し、ティッシュの上で溶剤を揮発させる。容器に残っている汚れた溶剤は別のティッシュに染み込ませて揮発後に廃棄する。
  7. ドライベアリングの完成。オイルを注さすずに使いたいひとはここでメンテナンス完了です。

 

 シールド(ベアリング側面の蓋)がついているベアリングの場合、上記の方法では内部にゴミが残ってしまうことがあります。その場合はシールドを外して洗浄を行いましょう。

 シールドは細いリングによってベアリングに固定されています(例外あり)

 リングには切っ掛けがあるのでそこに針などを入れて内周側へ動かすとリングとシールドが外れます。リングは強い弾力を持っているのでどこかに飛んでいってしまわないよう気をつけてください。顔などに飛んできて怪我をする例もあります。

 シールドを外した(シールドがない)ベアリングはゴミが混入しやすくなる反面メンテナンス性が高くなります。こまめにメンテナンスする人はシールドを戻さずオープンのまま使うと良いでしょう。

 


<ドライ皮膜処理>

 「ドライ皮膜処理」はラジコン業界から持ち込まれた新しいメンテナンスです。摩擦抵抗が低い粒子を含んだ溶剤をベアリングに注し、回しながら溶剤を揮発させることでベアリング内部に低摩擦の皮膜を作ります。

 その効果は絶大で、安いベアリングはワンランク上の性能に、ガリったベアリングはちゃんと使える状態にまで回復することがあります。

 ラジコン用品の「レボリューションBB」やヨーヨー専門店で販売されている「ドライ皮膜キット」がドライ皮膜の溶剤です。どちらも品薄のため気になる人は在庫がある時に買っておきましょう。

 ドライ皮膜にはオイルのような」ベアリング内部を保護する」機能はありません。洗浄後にドライ皮膜処理を施したベアリングはいわば「よく回るドライベアリング」であることを覚えておいてください。

※ドライ皮膜は正しく処理できないと逆効果になることがあります。未経験の人は安いベアリングを実験台にして何度か練習してみましょう。

※ドライ皮膜は必須のメンテナンスではありません。


<注油>

 本来、ボールベアリングの中には劣化を防ぐための潤滑油が充填されています。ヨーヨーやラジコン、ミニ四駆の業界で行われている脱脂状態での使用はいわば例外であり、ベアリングの寿命を縮める使い方です。ベアリングの寿命を伸ばしたい人はほんの少しで良いのでさらさら系オイルを注しておきましょう。少量だけオイルを注したい場合はピンセットの先でオイルの雫を拾って注すと量の調節がやりやすくなります。

 

 バインド必須のヨーヨーでもオイルを注すと引き戻しに近い性質を持つことになります。完全ドライの状態に慣れきっている人はラセレーションなどのトリックがやりにくく感じるかもしれません。これは完全引き戻しにならないように注油量を調節すること、そしてストリングテンションをコントロールしてリターンを抑止するテクニックを磨くことで解決します。