固定軸ヨーヨーとは


固定軸ヨーヨー(Fixed Axle Yoyo)とはスリープを伸ばす目的のトランスアクセルを持たないヨーヨーのことです。左右のボディをつなぐ軸(Axle)に直接ストリングを掛けたり、空転しないスプールまたはトランスアクセルの上にストリングをかける構造を持っています 

 

固定軸は単なる「原始的で低スペックなヨーヨー」ではありません。最新の競技ヨーヨーにはないオモチャ感とレトロ感、限定された条件下で遊ぶ愉しみ…ひとつのジャンルとして認められるだけの魅力を秘めています。

 


固定軸の種類

<金属固定軸>

おもにプラスティックボディのヨーヨーに採用されている構造です。左右のボディを金属製の軸で繋ぎ、その軸にストリングを掛けます。分解不可能なためメンテナンスの幅はストリング交換くらいしかありません。

 

 

 

<木製固定軸>

ウッドボディのヨーヨーに採用されている構造です。ボディと一体化している(まるごと削りだされている)ものと左右のボディを丸棒で繋いでいるものがあります。こちらもメンテナンス目的の分解は不可能です

 

<木製ベアリング>

ボディの中に木製の軸受けを組み込んでいる「軸が交換可能な固定軸ヨーヨー」です。木製ベアリング(Wooden Bearing)、木製スプール(Wooden Spool)、木製トランスアクセル(Wooden Transaxle)と呼ばれます。

 

<プラスティック固定軸>

 上記いずれかの構造にプラスティックの軸を採用したきわめて少数派の構造です。形状はヨーヨーによって様々。


金属軸と木製軸の特徴

<金属軸>

表面がツルツルしているため木製軸よりも長いスリープが可能。多くの場合、軸自身の摩擦だけでは十分なリターンが得られないためボディにレスポンスが設けられています。経年劣化によって表面が酸化するとスリープ力が下がりリターン力が上がる特徴があります。

 

<木製軸>

金属軸よりも高いリターン力を持つ軸です。ループの感触も柔らかめ。反面、スリープ力は劣ります。リターンは軸自身の摩擦に頼るところが大きいです。使い込むことで表面が磨かれると金属軸に近い性質になるため、レスポンスを持たないボディが採用されている場合はほとんど戻らなくなってしまいます。

 

分解によるメンテナンスができないモデルはその時点で新品と同じ使い方ができなくなるのでボディごと新品に交換します。消耗したヨーヨーはインテリアとして部屋に飾っておきましょう。

 


固定軸ヨーヨーのレスポンス

<スターバースト>

おなじみの定番レスポンス。プラスティックボディのモデルに採用されています。

 

<穴スター>

ヨーヨージャムの4つ穴スターのようにボディにくぼみを設けることで平面よりも高い摩擦を得るレスポンスです。

 

<ターボディスク>

トムクーンが開発した布製のステッカーレスポンスです。おそらく史上初のメーカー製リプレイスメントステッカーレスポンス。フリクションステッカーのようにゴムが吹きつけられていたりはしないので、木製の感触を損なわない程よいリターン力となっています。

 

<レスポンスなし>

固定軸は軸とストリングの摩擦が強いのでレスポンスが無くてもある程度のリターン力を持っています。そのためヨーヨーによってはレスポンスがない場合もあります。

 


固定軸ヨーヨーのメンテナンス

<ストリングとの相性>

50/50:耐久性の面で最適なストリング。基本はこのストリングを使うようにしてください。切れにくい太めの製品がおすすめです。

 

ポリ100:摩擦係数がコットンよりも低いため金属軸や念入りに磨かれた木製軸と組み合わせるとトランスアクセル並のスリープ力を生み出すストリング。ただし少しでも酸化した金属軸、磨いていない木製軸に取り付けてしまうと最短数スローで切れてしまうため使用には危険が伴います。自分以外の人がいる場所で使うのは避けましょう。

 

コットン100:金属軸、木製軸どちらにも似合う柔らかい感触が魅力。反面耐久性は低い。ポリ100と同じく慎重な運用が求められます。

 

<軸の研磨>

 新品の木製軸は表面がザラザラしているため「リターン強/スリープ短」というコンディションになっているものが多いです。これを改善する作業が「軸磨き」です。

 

写真のようにストリングを軸に1周巻きつけ、軽く締め付けながら軸を磨きます。磨きすぎると使い込んだ状態(ツルツルで戻ってこない)になってしまうのでこまめに様子を確認しながら作業してください。 

 

金属軸も表面が酸化している場合は研磨作業が必要になります。ストリングに少量の研磨剤を染み込ませ、木製軸と同じように磨いた後、スリットに残った研磨剤を綺麗に拭き取ってください。スターバーストの機種は雑に作業するとスターまで削ってしまうので慎重に作業しましょう。

 

<レスポンスの交換・追加>

ノージャイブのような分解可能モデルはレスポンスを交換・追加することでフィーリングを変化させることができます。定番はトムクーンのターボディスク。ダンカンフリクション系やIRPAD薄めだと戻りが強くなりすぎてしまうかも。僕はほつれ止め処理を施した自作ターボディスクや専用のオルタナパッドを使っています。

 


固定軸ヨーヨーのトリック

固定軸ヨーヨーの遊び方にはいくつかのジャンルが存在します。

 

①固定軸技(Fixed Axle Trick)

「止め」を多用する固定軸ならではのトリックです。正式な名称は不明…もしかしたらまだ名前がないのかもしれません。「固定軸技」という言葉自体、僕くらいしか使っていないのです。固定軸技の一部はバインド1Aのトリックへ流用されているので動き自体は見たことがあるという人もいるかもしれません。

 

②普通のトリックに挑戦

ベアリングヨーヨーで行うトリックに固定軸で挑戦する遊び方です。強スローして、スリープロスを最低限に抑えつつ最短の動きでトリックを完成させる。限定された条件下を愉しむのです。上級者はホイールズでアドバンスド・スプリット・ジ・アトムやランシッドミルクをやっていますよ。

 

③回っていない状態でプレイ

ヨーヨーが一切回っていない状態でトリックやコンボを行い、キャッチ直前にさりげないワインダーを入れてヨーヨーに回転力を与え、ストリングを巻き取らせてキャッチする遊び方。ジャイロ効果が働いていないヨーヨーの傾きを制御する感覚はけん玉に近いものがあります。

 


固定軸技の種類

<ストール系> 使用ヨーヨー:ダンカン「プロヨー」

円運動中のヨーヨーを引き戻し、マウント先のストリング上で止めるトリックです。リジェネレーションと組み合わせることでヨーヨーをキャッチすることなく連続してトリックを行うことができます。 

 

- Trapeze Stall -

Braintwister Stall -

- Thumb mount Stall -


【ストール系のコツ】

・ヨーヨーが軸となる指を越えた瞬間または超える直前から「戻す」動作に入る。

・ヨーヨーにはストリング全長の50~80%が巻き付くようにする。

・必要最低限の力でスローする(回転が強いと衝撃吸収が追いつかない)

・マウント時は膝や腕のクッションを使ってしっかり衝撃吸収する。

・両手の間隔が近いトラピーズ完成形を意識する。

 

<フリップ系> 使用ヨーヨー:オルタナティブヨーヨークラフト「山桜弐式」

止め系のトラピーズからスーサイドキャッチにつなげるトリックです。ヨーヨーが回転していないので横にも縦にも振ることができます 

 

- Kickflip Suicide -

- Flip warp Suicide -


【フリップ系のコツ】

・ヨーヨーとストリングがトラピーズの形を保ったまま宙を舞うように振る。

 

<グラブ系> 使用ヨーヨー:ヨメガ「アルファウイング」

トリック中にヨーヨーをつかむトリックです。 

 

- Pocketwatch -

- Grab to Triangle -


【グラブ系のコツ】

・ストリングの巻方向を常に把握しておく。

・掴む手の、どの指の間にストリングを収めるとやりやすいか研究する。

 


固定軸技のビデオ紹介

Drew Tetz

元ダンカンクルーメンバー。彼ほど時代の先を行き、かつ本流とは違うスタイルを築いているプレイヤーはいないでしょう。そのセンスは固定軸ジャンルにおいても遺憾なく発揮されています

 


Ed Haponik

元スパイのプレイヤー。メリハリのある止め系とスーサイドアレンジは一見の価値あり。彼の固定軸技には一般的な1Aのエッセンスが多分に含まれているので、これから固定軸技を覚えたい人のお手本して最適です。

 


Instagram

写真共有SNS「Instagram」には固定軸愛好者たちが投稿した動画が多数存在します。

 

<代表的なタグ>

 #fixedaxle #fixedcircle #fixedfriday #fixedaxlefriday

 


愛用の固定軸ヨーヨー

僕が愛用している固定軸ヨーヨーを紹介します。購入時の参考にしてもらえれば幸いです。

※すでに生産終了しているモデルもあります

 

トムクーン「ノージャイヴ」

「3in1」の名でお馴染みのノージャイヴ。堅く重いメイプル材が生み出すフィーリングは格別の一言。ステッカー式レスポンスで戻りが調節できるのも嬉しいポイント。

 

ダンカン「インペリアルシリーズ」

50年以上販売され続けている超ロングセラーモデル。突出した部分のない万人向け。「グロウ」「ミッドナイト」「ネオ」は同型のカラバリ。

 

ダンカン「プロフェッショナルシリーズ」

ループ特化に見えて実は万能型の固定軸。ダンカンコカコーラ、エイリアン、ギャラクシーなどバリエーション豊富。キャップは着脱可能。

 

ダンカン「トーナメント」「サテライト」

インペリアルよりも丸みを帯びたトーナメントと「逆Hプロファイル」のサテライト。トーナメントはループの感触がとても良い。サテライトはエッジがきつくやや上級者向け。

 

ダンカン「ホイールズ(初代)」

約64gの重量級固定軸(バタフライは約48g、ノージャイヴは約56g)高いスリープ力を持つ反面、ストール系の止めが難しい(勢いがつきすぎる)

 

ダンカン「バタフライ」

インペリアルと並ぶロングセラーモデル。ストール系がやりやすい程よいエッジを持つ。ループを交えた軽快なリジェネコンボ向け。

 

ダンカン「プロヨー」「プロフライ」

交換可能な木製軸とプラスティックのボディを持つヨーヨー。どちらも丸さの割に広い有効幅があり使いやすい。プロヨー同形状で木製軸とブレーキパッドを積んだ「イグナイト」もおすすめ。

 

ヨメガ「アルファウイング」

言い逃れ出来ないほどバタフライと似ているヨメガの新作固定軸。「清書したバタフライ」といった感じの仕上がりで、各部とても丁寧に成形されている。国内価格1000円越えとやや高価だが値段ぶんの価値あり。

 

ヨメガ「オールスター」

「オールスター」「ハイパースター」「モンスターシェル」、そしてキャップ構造の「オールスターウルトラ」、どれもダンカンより細い軸が採用されているためスリープが長い。それでいてループの戻りもクイック。

 

ヨメガ「パンサー」

リムに衝撃吸収用のOリングがついている変わり種の木製固定軸。オールラウンド型ながら広い有効幅を持ちトリック種別を選ばず使いやすい。

 

ハイパーヨーヨー「ハイパーラッセル」

コカコーラヨーヨーでおなじみのラッセル形状に木製軸を搭載したヨーヨー。きわめて澄んだループ感触が魅力。再販を望んでやまない名機。

 

ハイパーヨーヨー「ハイパーミレニアム」

樹脂製の「ナイロンアクセル」を持つ特殊なモデル。摩擦係数の低いナイロン軸はロングスリープが可能な反面、耐久性がやや低い(摩擦熱で溶けてしまう)すぐれたボディ形状をしているので金属軸で似た形のモデルが欲しいところ。

 

ダイソー「てんとうむしヨーヨー」

民芸品ヨーヨーのように軸にストリングが固定されているヨーヨー。ストリングを除去し、軸を磨いて普通の固定軸の状態にすると非常に使いやすいアンダーサイズ固定軸となる。玩具の棚かベビー用品の棚に置かれている。

 

オルタナティブヨーヨークラフト「山桜弐式」

フルサイズステップストレートの木製固定軸。材は重厚な山桜を使用。9割以上の有効幅率を持つためマウントミスしやすいトリックの成功を助けてくれる。